石器実測図作成サービス

石器実測図作成サービスの特長

石器実測図作成サービスとは、お預かりした石器の実測図を作成して納入するサービスです。
当社の作成する実測図は全て"CORE DATA"を基礎とした「PEAKIT画像」から作成しています。
 「PEAKIT」を利用した実測図作成システムの特長は以下の2点になります。
(a)高精度、高精細、理論的整合性 : 分解能0.5μmの高精度レーザープロファイラを実装した自社開発の制御ロボットで測定間隔0.1〜0.2mmの高密度な"CORE DATA"を取得します。このデータを基に、独自開発の画像処理手法を用いて遺物表面の状態を鮮明に抽出します。これらは3次元モデルを基としてソフトウエア上で展開図、断面図を作成するというプロセスを経るため、極めて高い理論的整合性を保った 正射投影展開図を作成することができます。
(b)記録に関わるコストの削減 : 旧来の石器実測の工程に関わるひとつひとつの動作を分解したうえで、(1)機械化可能な工程(機械の方が良い結果が得られる部分)と、(2)機械化不可能な工程(人為的な観察が必要な部分)の2段階のプロセスに再構成しています。(1)に関してはプログラムの改良を重ね、可能な限り自動化、ルーチン化を図ることで無駄なコストを削減しています。削減したコストは(2)の観察や描画工程の品質管理に還元されます。こうすることで、高い精度、図化品質を維持しながらも、トータルの価格を抑えることに成功しています。
 石器実測図はこれまでに多数の納入実績があります。特に打製の剥片石器の図化品質は高い評価を頂いています。

当社の実測図とは?

 当社の実測図は以下の5つのこだわりを持っています。

PEAKIT実測


当社の石器実測図は全て"CORE DATA"から生成される完全な正射投影、多面展開の形状解析画像=「PEAKIT」を素図とします。そのため高い精度と整合性を持った図面を作成することが可能です。




完全社内製図

当社では、組織内における知識と技能の蓄積を大切に考え、人材を長期育成する体制を整えています。一貫した石器の理解と表現技術による安定した品質を提供し続けるために、他社や個人など外部への二次委託は行なっておりません。




実測図の品質

図化作業は液晶タブレットを用いてAdobe Illustrator上でダイレクトに作図します。これにより社内では完全なぺーパレスの環境を実現しています。
 当社の実測図は「観察」「理解」「表現」の要素に分け、それぞれに以下の特色をもちます。
(1)観察:実資料(ルーペ使用)と高詳細PEAKIT画像を併用し、石器を詳細に観察します。
(2)理解:一連の剥片剥離技術の脈絡の中で石器の成り立ちを理解します。また打割実験を活かし一見複雑な現象に対しても妥当性のある理解を選択し、シンプルな意訳を施します。
(3)表現:「Shading」と呼ぶ独自のトレース技法で各剥離面形成の時間差を明確に表現し、奥行きのある立体的な図面へと仕上げます。

付加価値

"CORE DATA"から計測値を生成しご提供します。寸法計測では長さ、幅、厚さの各方向において、「どの位置で最大の値をとるのか」という情報が不可欠です。それを示すのが寸法図です。弊社ではPEAKIT作成のプログラム上で自動的に最大値をとる部位を探索し、図のような寸法図を作成します。
 寸法図のファイルの形式はSVG形式で、Microsoft internet explorerまたはAdobe Illustratorで開くことができます。寸法の計測値はエクセル形式の一覧表にして納入します。

安心のデータ管理

業務で用いるデータは社内サーバで一括管理し、作業の中で生成される中間ファイルも含めて長期にわたって保存管理しています。定期的なバックアップ、メディアへの書き出しの作業を行ないますので、紛失破損など不測の事態が起こった場合でも、データを再提供することが可能です。




石器実測図作成サービスの活用法 

石器の実測図化は、観察項目が多いうえに図化表現にも熟達した技術が必要であり、報告書作成の中でも最も困難な仕事のひとつです。しかしその一方で、多くの自治体の雇用事情では、そういった仕事に従事する専門チームを育成し、長期にわたり維持することが年々難しくなってきているというのが現状で、調査員一人当たりの負担は増加傾向にあります。この状況を改善するため、最近では図化作業をアウトソーシングすることが一般的になりました。石器実測図作成サービスは以下のような方にお進めします。
 ○石器の整理に十分な時間を確保出来ない方
 ○実測図作成のための人材を確保出来ない方
 ○限られた予算内で出来るだけ多くの資料を公開したい方
 ○石器を専門としない方

ワークフロー

工程は以下のとおりです。
1)石器をお預かりする。
2)3次元計測し"CORE DATA"を作成する。
3)"CORE DATA"に対しデータ処理を行ない「PEAKIT」と「寸法図/寸法表」を生成する。
4)PEAKITをもとにAdobe illustratorを用いて観察/作図を行ない、「実測図」を作成する。
5)石器と返却とともに「実測図」「PEAKIT」と「寸法図/寸法表」を納入する。

予めご準備頂く情報

石器をお預かりする前段階でお客様にご準備頂く情報は以下のとおりです。
 (1)委託番号、器種などの属性を一覧表にした「委託石器リスト」(Excelファイル)
 (2)石器の天地および断面採取位置が分かるよう、石器のスナップ写真にマーキングした画像(可能な場合は実資料へシールを添付したものでも結構です)

工期

石器をお預かりしてから納入までの工期は10cm未満の剥片石器で、月産200〜300図程度を目安としてください。但し、黒曜石などの透明な石材、大型の接合資料などが多数含まれる場合は通常よりもお時間がかかります。工期は、混みあい状況によっても変化しますが、お客様側での状況を考慮し、納入形態に関してはできるだけ柔軟に対応するよう心がけておりますのでご相談ください。

制約条件

(1)3次元計測機の制約で、計測可能な大きさは、石器を平置きした状態で高さ6cm以下が標準仕様となります。委託資料の中に高さ6cmを越える資料を多く含む場合はご相談ください。
(2)黒曜石のような透明な素材は、レーザー光を透過するため、そのままでは良好な"CORE DATA"を取得することができません。そのため予め石器表面に反射防止用現像材を薄くスプレーしてから計測し、超音波で洗浄して返却しています。ご了解ください。

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KEYWORDS

「高精度」であること

ラングシステムでは遺物1点につき数万〜数百万点からなる高密度で高精度な3次元測点座標を記録しアーカイブします。私たちは、報告書作成に限らず将来的に所望される分析、復元、公開、あるいは不慮の事故による消失など、多種多様なニーズに応えられるデータを作成することが記録保存の本来の目的であると考えています。

「シンプル」であること

ラングシステムは機械化できる部分と不可能な部分を明確にわけています。たとえば実測図作成に関しては機械で作成可能な情報は全て「PEAKIT」に凝縮されていますので、そこからの作業は非常にシンプルになります。鮮明なPEAKIT画像をキャンバスに、遺物を観察しながら考古学的な情報を表現していくことだけに集中することができます。

「再現性」があること

ラングは考古学が実証学問であることにこだわり、観察図の作成といえどもその根底には「再現性」のある根拠が必要だと考えています。「100人やっても全て同じ結果」あるいは「1人が100回やっても全て同じ結果」が得られる3次元"CORE DATA"を作成し、それを基礎として判読や診断を行なうというプロセスを重視し、実践しています。

「多角的」に分析できること

ラングシステムは3次元"CORE DATA"を多角的に解析し、定量的なデータを抽出するためのシステムです。解析手法はこの先も進歩し続けますので、"CORE DATA"が保存されていればそのデータに対して常に最新の処理を適用することが出来ます。こうすることでデータを「生きた記録」として成長させることが可能になると考えています。

「恒久的」に残すこと

私たちは、遺跡や遺物の記録が、一回の書物作成のためではなく 活用され続けるためのデータであることを意識しています。それは例えば100年後の考古学者が私たちの作成した記録から新たな発見が出来ることです。そのために主観、歪曲、隠蔽、錯誤を極力排した記録を作成し、それを劣化しない形で残すことが大切だと考えています。

「コスト」を抑えること

いかに素晴らしい仕組みであろうとも、実践の場で活用できないものであれば意味がありません。ラングシステムは高い精度、品質、付加価値を供給するとともに、徹底した自動化、ルーチン化が図られ、高いコストパフォーマンスを生み出します。提供するデータのバリエーションも多様で、予算や作業体制に合わせたサービスを提供します。